第3章 許可要件 21 運行管理者
運送業許可を取得して一般貨物自動車運送事業を行う場合、「運行管理者」の存在は欠かせません。 運行管理者は、ドライバーの安全管理や点呼、労務管理などを担当する重要な役割を担っています。
特に運送業では、過労運転や飲酒運転などが重大事故につながるため、国土交通省は安全管理体制を非常に重視しています。 その中心となるのが運行管理者です。
この記事では、
- 運行管理者とは何か
- なぜ必要なのか
- 運行管理者になる方法
- 選任要件
- 実務上の注意点
について、運送業許可申請を検討している方にもわかりやすく解説します。
なお、運送業許可全体の要件については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:
- 「運送業許可の5つの要件」
- 「必要車両台数とは」
- 「整備管理者とは」
運行管理者とは
運行管理者とは、営業用トラックの安全運行を管理する責任者のことです。
一般貨物自動車運送事業者は、営業所ごとに一定人数の運行管理者を選任しなければなりません。
運行管理者は、主に以下のような業務を担当します。
- 点呼の実施
- ドライバーの健康状態確認
- アルコールチェック
- 運転時間管理
- 運行指示
- 事故防止教育
- 安全運転指導
つまり、運送会社の「安全管理の中心人物」といえる存在です。
なぜ運行管理者が必要なのか
運送業は重大事故リスクが高いため
大型トラックによる事故は、一般車両より被害が大きくなりやすい傾向があります。
そのため国土交通省は、
- 過労運転防止
- 飲酒運転防止
- 健康管理
- 安全運転教育
などを厳しく求めています。
これらを適切に管理するため、法律上「運行管理者」の選任が義務付けられています。
貨物自動車運送事業法で義務化されている
運行管理者制度は、貨物自動車運送事業法に基づく制度です。
一般貨物自動車運送事業では、営業所ごとに運行管理者を配置しなければなりません。
運行管理者が不在の場合、
- 巡回指導での指摘
- 行政処分
- 監査対象
となる可能性があります。
そのため、運送業許可申請時にも運行管理者の確保が重要な審査項目になります。
運行管理者になる方法
運行管理者になるには、基本的に以下のいずれかが必要です。
運行管理者試験に合格する
もっとも一般的な方法です。
貨物運送業の場合は、「貨物」の運行管理者試験に合格する必要があります。
試験では、
- 貨物自動車運送事業法
- 道路運送車両法
- 労働基準法
- 道路交通法
- 安全管理
などの知識が問われます。
実務経験+基礎講習という方法もある
一定期間の実務経験を積み、基礎講習を受講することで運行管理者資格者証を取得できるケースもあります。
ただし、詳細要件や運用は確認が必要になるため、実際には試験合格ルートが一般的です。
運行管理者の選任要件
営業所ごとに選任が必要
運行管理者は、営業所単位で選任します。
本社に1人いればよいわけではありません。
営業所ごとに必要人数を配置する必要があります。
保有車両数によって必要人数が変わる
一般的には、
- 29両まで:1名
- 30両以上:複数名
が必要になります。
車両数が増えると、必要な運行管理者数も増加します。
許可申請時には、車両台数と必要人数が一致しているか確認されます。
常勤性が求められる
運行管理者は、原則として営業所に常勤している必要があります。
名義貸しや形式的な配置は認められません。
特に新規許可申請では、
- 実際に勤務するのか
- 他社と兼務していないか
- 常勤性があるか
などが確認されます。
運行管理者の主な業務
点呼の実施
運行管理者の代表的業務が「点呼」です。
点呼では、
- 健康状態
- 飲酒有無
- 疲労状況
- 車両異常
などを確認します。
点呼記録簿の作成・保存も必要です。
点呼については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:
- 「点呼とは」
- 「点呼方法」
- 「点呼記録簿とは」
労務管理
ドライバーの拘束時間や休息時間を管理することも重要業務です。
過労運転は重大事故につながるため、
- 改善基準告示
- 労働基準法
などを踏まえた管理が必要になります。
安全教育
運転者教育も重要です。
例えば、
- 事故防止教育
- ヒヤリハット共有
- 初任運転者教育
- 高齢運転者教育
などを実施します。
事故発生時対応
事故発生時には、
- 状況確認
- 再発防止
- 報告対応
なども行います。
安全管理体制の中心的役割を担う存在です。
運行管理者に関する注意点
「資格を持っているだけ」では不十分
実務では、単に資格者証を持っているだけでは足りません。
実際に運行管理業務を行える体制が必要です。
巡回指導では、
- 点呼記録
- 指導記録
- 勤務実態
などが確認されます。
そのため、「名前だけ貸している状態」は非常に危険です。
ドライバー兼任時は注意
小規模事業者では、社長やドライバーが運行管理者を兼務するケースがあります。
ただし、
- 長距離運行ばかりで不在
- 点呼実施が困難
- 常勤性がない
などの場合は問題になる可能性があります。
許可取得後の運営も考えて体制を整えることが重要です。
巡回指導・監査で重点確認される
運行管理体制は、巡回指導や監査でも重点確認項目です。
特に確認されやすいのは、
- 点呼実施状況
- アルコールチェック
- 運転日報
- 指導教育記録
- 労務管理
などです。
記録不備があると行政処分につながる可能性があります。
運行管理者を確保できない場合はどうなる?
運送業許可申請では、運行管理者を確保できなければ許可取得が困難になります。
そのため、
- 事前に資格者を採用する
- 自分で資格取得する
- 社員に資格取得してもらう
などの準備が必要です。
特に新規開業では「車両」や「資金」に意識が向きがちですが、人的要件も非常に重要です。
まとめ
運行管理者は、運送会社の安全運行を支える重要な存在です。
一般貨物自動車運送事業では、
- 営業所ごとの選任
- 常勤性
- 点呼や安全管理
などが求められます。
また、運行管理体制は運送業許可取得後の巡回指導・監査でも重点確認されるため、実態を伴った運営が重要です。
これから運送業を始める方は、早い段階で運行管理者の確保や資格取得を検討しておきましょう。
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運送業許可は、確認すべき法令が多岐にわたり、一つでも要件を落とすと許可が下りない非常に難易度の高い手続きで、専門的な知識が必要になります。
事前の確認が不十分なまま手続きを進めると、 申請が認められないケースもあります。
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