第2章 運送業許可の基礎 9 一般貨物自動車運送事業とは
結論
一般貨物自動車運送事業とは、他人の荷物を運び、その対価として運賃を受け取る事業をいいます。
トラックを使用して荷物を運ぶ仕事であっても、自社の商品を運ぶだけであれば一般貨物自動車運送事業には該当しません。一方で、荷主から依頼を受けて荷物を運び運賃を受け取る場合には、原則として国土交通大臣の許可が必要になります。
運送業を始めようと考えている方の中には、
- 運送業とは具体的にどのような事業なのか
- 軽貨物との違いは何か
- 許可が必要になるケースはどのような場合か
と疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、一般貨物自動車運送事業の概要や許可制度の基本、軽貨物運送事業との違いについてわかりやすく解説します。
一般貨物自動車運送事業とは
一般貨物自動車運送事業とは、貨物自動車運送事業法に基づき、
「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業」
をいいます。
簡単に言えば、
「お客様の荷物を運び、その対価として運賃を受け取る事業」
です。
一般的には、
- トラック運送会社
- 配送会社
- 引越運送会社
- 地場配送事業者
- 長距離輸送事業者
などが該当します。
私たちの生活を支える物流の中心的な存在であり、日本国内の貨物輸送の大部分を担っています。
一般貨物自動車運送事業が必要になるケース
次のようなケースでは一般貨物自動車運送事業に該当する可能性があります。
荷主から依頼を受けて配送する場合
例えば、
- 建築資材の配送
- 食品配送
- 雑貨配送
- 工業製品の配送
などを請け負い、運賃を受け取る場合です。
運ぶ荷物が何であるかにかかわらず、
- 他人の荷物
- 運賃を受け取る
- 継続的に事業として行う
という要素があれば運送業に該当する可能性があります。
元請運送会社から仕事を受ける場合
元請運送会社から業務委託を受けて運送を行うケースもあります。
荷主から直接依頼を受けていなくても、
- 荷物を運ぶ
- 運賃を受け取る
のであれば、一般貨物自動車運送事業に該当します。
引越運送を行う場合
引越業務も一般貨物自動車運送事業の一種です。
個人宅の引越しや事務所移転などで運賃を受け取る場合には、原則として運送業許可が必要になります。
一般貨物自動車運送事業に該当しないケース
反対に、次のようなケースは一般貨物自動車運送事業には該当しません。
自社の荷物を運ぶ場合
例えば、
- 自社商品の配送
- 自社資材の運搬
- 自社倉庫間の輸送
などです。
この場合は「自家用運送」に該当し、一般貨物自動車運送事業ではありません。
無償で運搬する場合
運賃や報酬を受け取らずに荷物を運ぶ場合です。
ただし、実質的に運送代金が含まれているようなケースでは運送事業と判断される可能性もあるため注意が必要です。
一般貨物自動車運送事業と軽貨物運送事業の違い
運送業を始めようとする方が最も混同しやすいのが、一般貨物自動車運送事業と軽貨物運送事業の違いです。
一般貨物自動車運送事業
特徴は次のとおりです。
- 許可制
- 原則5台以上の事業用車両が必要
- 営業所・車庫要件がある
- 運行管理者が必要
- 資金要件がある
- 緑ナンバー
比較的大規模な運送事業向けの制度です。
軽貨物運送事業
特徴は次のとおりです。
- 届出制
- 軽自動車1台から開始可能
- 黒ナンバー
- 許可ではなく届出
- 比較的開業しやすい
個人事業主や小規模事業者が参入しやすい制度となっています。
詳しくは関連記事で解説しています。
→「軽貨物と一般貨物運送事業の違い」
なぜ運送業許可が必要なのか
運送業は社会インフラを支える重要な事業です。
もし誰でも自由に運送業を始められると、
- 安全管理が不十分になる
- 事故リスクが高まる
- 法令違反が増える
- 利用者保護ができなくなる
という問題が生じます。
そのため国は、
- 人的要件
- 車両要件
- 営業所要件
- 車庫要件
- 資金要件
などを定め、一定の基準を満たした事業者だけに許可を与えています。
一般貨物自動車運送事業の許可要件
一般貨物自動車運送事業を始めるためには、主に次の要件を満たす必要があります。
営業所
事業を運営するための営業所が必要です。
都市計画法や建築基準法などの法令にも適合していなければなりません。
車庫
事業用車両を保管する車庫が必要です。
営業所との距離制限なども定められています。
車両
原則として5台以上の事業用車両が必要です。
車両の大きさや用途も確認する必要があります。
運行管理者
一定の資格要件を満たした運行管理者を配置しなければなりません。
安全運行を確保するための重要な役割を担います。
資金
車両購入費や保険料など、事業開始に必要な資金を確保していることが求められます。
一般貨物自動車運送事業を始める際の注意点
「運送業=トラックを買えば始められる」ではない
初めて開業を考える方の中には、
「トラックを購入すれば運送業を始められる」
と思われている方もいます。
しかし実際には、
- 許可申請
- 法令適合確認
- 各種要件確認
- 運輸開始準備
など多くの手続きが必要になります。
事前調査が非常に重要
運送業許可では、
- 営業所
- 車庫
- 人員
- 車両
の確認を事前に行うことが重要です。
特に車庫や営業所は契約後に問題が発覚するケースもあります。
契約前の確認が大切です。
開業まで時間がかかる
一般貨物自動車運送事業は申請後すぐに営業できるわけではありません。
許可取得から運輸開始までには一定の期間が必要になります。
事業計画には余裕を持つことが重要です。
まとめ
一般貨物自動車運送事業とは、他人の荷物を運び運賃を受け取る事業のことをいいます。
運送業を始めるためには、単にトラックを用意するだけではなく、
- 営業所
- 車庫
- 車両
- 運行管理者
- 資金
などの許可要件を満たさなければなりません。
また、軽貨物運送事業とは制度や要件が大きく異なるため、自身がどちらの事業形態を目指すのかを事前に整理することも重要です。
運送業許可制度を正しく理解することが、スムーズな開業への第一歩となります。
運送業許可のご相談は行政書士山下法務事務所へ
一般貨物自動車運送事業の許可申請では、営業所や車庫の適法性確認、資金計画の作成、申請書類の作成など専門的な知識が必要になります。
特に開業準備段階で誤った判断をしてしまうと、許可取得までに余計な時間や費用がかかることもあります。
行政書士山下法務事務所では、
- 運送業許可申請
- 営業所・車庫の事前確認
- 許可取得までのサポート
- 許可後の各種手続き
についてご相談を承っております。
30年間行政手続きに携わった経験を活かし、事業者様の開業をサポートいたします。
詳しくは、行政書士山下法務事務所 からお気軽にお問い合わせください。