第1章 運送業の開業 3 運送業を始めるには何が必要?
結論|運送業を始めるには「許可要件」を満たす必要があります
運送業を始めるためには、単にトラックを用意するだけでは足りません。
一般貨物自動車運送事業を行う場合は、国土交通省(運輸局)の「運送業許可」を取得する必要があります。
そして、許可を取得するためには主に次のような要件を満たさなければなりません。
- 営業所
- 車庫
- 車両
- 運行管理者
- 資金
これらは「運送業許可の5要件」と呼ばれています。
特に注意が必要なのは、物件を契約した後に「実は許可基準を満たしていなかった」というケースです。
そのため、運送業の開業では「契約前の事前確認」が非常に重要になります。
この記事では、運送業を始めるために必要なものを初心者向けにわかりやすく解説します。
これから運送業の開業を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
運送業を始めるには「運送業許可」が必要
一般貨物自動車運送事業とは
他人の荷物を運び、運賃を受け取る事業を行う場合、原則として「一般貨物自動車運送事業許可」が必要になります。
例えば次のようなケースです。
- 荷主から依頼を受けて荷物を運ぶ
- 建築資材を配送する
- 食品や雑貨を配送する
- 定期便やスポット便を行う
このような事業は、貨物自動車運送事業法の規制対象になります。
一方で、自社の荷物だけを運ぶ場合は、通常は運送業許可は不要です。
なぜ許可制度があるのか
運送業は、多くの車両が道路を走行する事業です。
そのため、
- 交通安全
- 過労運転防止
- 適切な車両管理
- 利用者保護
などを目的として、法律に基づく許可制度が設けられています。
特に近年は、運送業界に対する安全管理の重要性が高まっており、運輸局による審査も厳格に行われています。
運送業を始めるために必要な5つの要件
1.営業所
まず必要になるのが「営業所」です。
営業所とは、運送業の事務を行う拠点のことをいいます。
営業所で確認される主なポイント
- 使用権原があるか
- 都市計画法・建築基準法に適合しているか
- 事務所として適切に使用できるか
例えば、住居専用地域では運送業の営業所として使用できない場合があります。
また、賃貸物件の場合には、契約書の用途が「事務所」になっているかも重要です。
後から問題が発覚すると、再契約や物件変更が必要になることもあります。
関連記事として、営業所要件については今後別記事でも詳しく解説します。
→「運送業の営業所要件」
2.車庫
運送業では、事業用車両を保管する「車庫」が必要です。
車庫要件で重要なポイント
- 営業所との距離
- 車両を問題なく駐車できる広さ
- 前面道路の幅員
- 使用権原
特に注意が必要なのは「前面道路」です。
大型車両が安全に出入りできない場合、許可が難しくなることがあります。
また、農地や市街化調整区域では注意が必要なケースもあります。
実務では、車庫選びで苦労するケースが非常に多いです。
そのため、契約前に確認することが重要です。
→「運送業の車庫要件」 →「車庫と営業所の距離制限」
3.車両
一般貨物自動車運送事業では、一定台数以上の事業用車両が必要です。
原則として、営業区域ごとに5台以上の事業用自動車を確保する必要があります。
車両として認められる条件
- 使用権原がある
- 車検が有効
- 事業用として使用できる
リース車両でも認められるケースがあります。
ただし、黒ナンバーの軽貨物運送とは制度が異なりますので注意が必要です。
→「必要車両台数」 →「軽貨物と一般貨物運送事業の違い」
4.運行管理者
運送業では「運行管理者」の配置が必要です。
運行管理者とは
ドライバーの安全管理を行う責任者です。
具体的には、
- 点呼
- 労務管理
- 安全指導
- 運行指示
などを行います。
運行管理者になるには、資格者証が必要です。
一般的には、
- 運行管理者試験
- 一定期間の実務経験
などにより資格を取得します。
運送業では安全管理体制が重視されるため、非常に重要な存在です。
→「運行管理者とは」
5.資金
運送業許可では、十分な資金があることも必要になります。
必要になる主な費用
- 車両購入費
- 車庫費用
- 営業所費用
- 保険料
- 税金
- 人件費
運輸局では、残高証明書などにより資金確認が行われます。
開業後すぐに経営が困難にならないよう、一定の資金力が求められています。
特に運送業は、車両費用や維持費が大きいため、資金計画が非常に重要です。
→「運送業許可に必要な資金」
運送業開業でよくある失敗
物件を先に契約してしまう
非常に多いのがこのケースです。
- 車庫として使用できない
- 用途地域に問題がある
- 前面道路が狭い
など、後から問題が発覚することがあります。
運送業では「契約前確認」が重要です。
資金不足
車両購入費だけを考えているケースも少なくありません。
しかし実際には、
- 保険
- 税金
- 修理費
- 人件費
など多くの費用が発生します。
開業後の運転資金も考慮した計画が必要です。
許可取得までの期間を考えていない
運送業許可は、申請後すぐに取得できるものではありません。
一般的には数か月程度かかります。
そのため、
- 車両購入時期
- 従業員採用
- 荷主との契約
などのスケジュール調整も重要になります。
→「運送業許可取得までの流れ」 →「運送業許可取得までの期間」
運送業を始める前に確認すべきポイント
「許可が取れるか」を最初に確認する
運送業では、
- 営業所
- 車庫
- 車両
- 人
- 資金
を総合的に確認する必要があります。
特に営業所や車庫は、一度契約してしまうと変更が難しい場合があります。
そのため、最初の段階で専門家に確認することが重要です。
許可後にも様々な義務がある
運送業は、許可取得後にも様々な義務があります。
例えば、
- 点呼
- 運転者台帳
- アルコールチェック
- 巡回指導対応
などです。
「許可を取れば終わり」ではなく、継続的な法令遵守が必要になります。
まとめ|運送業は事前準備が非常に重要です
運送業を始めるには、運送業許可の取得が必要になります。
そして許可取得のためには、
- 営業所
- 車庫
- 車両
- 運行管理者
- 資金
など、様々な要件を満たさなければなりません。
特に営業所や車庫は、契約前確認が非常に重要です。
誤った物件選びをしてしまうと、開業計画全体に大きな影響が出る可能性があります。
そのため、開業準備は慎重に進める必要があります。
運送業許可のご相談は行政書士へ
運送業許可は、要件確認や書類作成など専門的な手続きが必要になります。
特に、
- 営業所
- 車庫
- 資金計画
などは、事前確認が非常に重要です。
誤った内容で準備を進めてしまうと、許可取得までの期間が長くなる可能性があります。
当事務所では、
- 運送業許可申請
- 巡回指導対策
- 各種変更手続き
などのサポートを行っています。
30年間行政業務に携わった経験を活かし、丁寧に対応いたします。
運送業の開業をご検討中の方は、ぜひ 行政書士山下法政事務所 までお気軽にご相談ください。 また、運送業に関する関連記事は、ブログサイト 行政書士山下法政事務所ブログ でも順次解説していま