第1章 運送業の開業 7 運送業許可が必要なケース
結論
トラックを使って他人の荷物を運び、その運賃や料金を受け取る場合は、原則として「一般貨物自動車運送事業許可(いわゆる運送業許可)」が必要です。
一方で、自社の商品を自社で運ぶ場合や、運送そのものを業として行わない場合には、運送業許可が不要となるケースもあります。
実際には、
- 運送業許可が必要なケース
- 許可が不要なケース
- 軽貨物で対応できるケース
- 荷主との契約内容によって判断が分かれるケース
などがあり、開業を検討している方が最初につまずきやすいポイントでもあります。
この記事では、運送業許可が必要になる具体的なケースと不要なケースをわかりやすく解説します。
運送業許可とは
運送業許可とは、正式には「一般貨物自動車運送事業許可」といいます。
貨物自動車運送事業法では、他人の需要に応じ、有償で貨物を運送する事業を行う場合、国土交通大臣の許可を受けなければならないと定められています。
簡単に言えば、
他人の荷物を運び、その対価としてお金を受け取る事業
を行う場合には許可が必要ということです。
運送業許可を取得するためには、
- 営業所
- 車庫
- 車両
- 運行管理者
- 資金
などの要件を満たさなければなりません。
詳しくは関連記事 「運送業許可の5つの要件」 で解説しています。
運送業許可が必要になる3つの条件
運送業許可の要否を判断する際は、次の3つの条件を確認します。
他人の荷物であること
まず、運ぶ荷物が他人の所有物であることが必要です。
例えば、
- 荷主から依頼を受ける
- 企業の商品を配送する
- 引越荷物を運ぶ
などは他人の荷物に該当します。
反対に、
- 自社の商品
- 自社の資材
- 自社の備品
などを運ぶ場合は、自家用運送となります。
有償であること
運送の対価として料金を受け取る場合です。
例えば、
- 運賃
- 配送料
- 輸送費
- 運搬費
など名称は関係ありません。
実質的に運送の対価を受け取っている場合は有償運送と判断されます。
「配達協力金」 「配送手数料」
などの名称に変更しても判断は変わりません。
事業として継続的に行うこと
単発的な運搬ではなく、継続して行う事業であることも重要です。
例えば、
- 配送業務を請け負う
- 定期便を行う
- 企業専属便を行う
などは事業性が認められます。
継続して収益を得る目的で行う場合は、運送事業に該当すると考えられます。
運送業許可が必要な具体例
ここでは実際によくあるケースを紹介します。
ケース1 荷主から配送依頼を受ける
最も典型的な運送業です。
例えば、
- 建築資材の配送
- 食品配送
- 雑貨配送
- 引越運送
などです。
荷主から依頼を受けて運賃を受領するため、運送業許可が必要になります。
ケース2 元請運送会社の下請として配送する
元請会社から仕事を受注して配送を行うケースです。
例えば、
- 路線会社の下請
- 宅配会社の下請
- 専属配送契約
などがあります。
依頼主が運送会社であっても、実際に有償で貨物運送を行うため許可が必要です。
ケース3 企業専属便として配送する
特定の企業の商品を毎日配送するケースです。
例えば、
- 工場から倉庫への配送
- 倉庫から店舗への配送
- 医療品配送
などです。
専属契約であっても、他人の荷物を有償で運ぶため許可が必要になります。
運送業許可が不要なケース
一方で許可が不要なケースもあります。
自社の商品を運ぶ場合
例えば、
- 建設会社が資材を運ぶ
- 工場が自社製品を配送する
- 小売店が自社商品を配送する
場合です。
荷物が自社所有であるため、一般的には運送業許可は不要です。
これを「自家用運送」といいます。
自社の備品や工具を運ぶ場合
例えば、
- 工事用工具
- 作業機械
- イベント機材
などを自社で運ぶケースです。
運送業ではなく事業活動の一部であるため、許可は不要です。
無償で運搬する場合
報酬を受け取らずに運ぶ場合です。
ただし実際には、
- 委託料
- 協力金
- 手数料
などの形で実質的な報酬が発生しているケースもあります。
名目だけで判断せず、実態で判断される点に注意が必要です。
軽貨物の場合はどうなる?
「軽貨物なら運送業許可は不要ですか?」
という質問をよくいただきます。
結論から言うと、
軽貨物運送事業にも手続きは必要です。
ただし一般貨物自動車運送事業許可とは異なり、
- 許可制ではない
- 届出制である
という違いがあります。
軽自動車やバイクを使用して運送を行う場合は、貨物軽自動車運送事業の届出を行います。
詳しくは関連記事
「軽貨物と一般貨物運送事業の違い」
で解説しています。
許可が必要か判断に迷いやすいケース
実務上、次のようなケースでは判断に迷うことがあります。
配送付き商品の販売
例えば家具販売業者が、
- 商品販売
- 配送
をセットで行う場合です。
販売が主目的なのか、運送が主目的なのかによって判断が異なる場合があります。
業務委託契約
契約書上は業務委託となっていても、
実態として
- 他人の荷物を
- 有償で
- 継続的に
運んでいる場合は運送事業と判断される可能性があります。
契約書の名称だけでは判断できません。
白ナンバーでの運送
運送業許可が必要な事業を白ナンバー車両で行うことは認められていません。
無許可営業と判断される可能性があり、大きなリスクがあります。
開業前には必ず確認することが重要です。
実務上の注意点
「知人の荷物だから大丈夫」は危険
知人や取引先の荷物であっても、
- 運送の対価を受け取る
- 継続して行う
のであれば運送業に該当する可能性があります。
契約内容だけでは判断できない
実際の運送実態が重視されます。
契約書に
- 配送補助
- 業務支援
などと記載されていても、実態が運送事業であれば許可が必要です。
開業前の確認が重要
運送業許可取得後に事業計画を変更するよりも、開業前に事業内容を整理した方がスムーズです。
許可の要否を誤ると、
- 開業時期の遅延
- 追加費用の発生
- 事業計画の見直し
につながる可能性があります。
まとめ
運送業許可が必要かどうかは、
- 他人の荷物を運ぶ
- 有償である
- 継続的に事業として行う
という3つの要素が大きな判断基準になります。
一方で、
- 自社の商品配送
- 自社資材の運搬
- 自社備品の運搬
などは一般的に運送業許可は不要です。
運送業の開業を検討している方は、まずご自身の事業内容が許可対象になるのかを確認することが重要です。
運送業許可のご相談は行政書士山下法政事務所へ
運送業許可が必要かどうかの判断は、事業内容や契約形態によって異なる場合があります。
「自分のケースでは許可が必要なのか分からない」 「一般貨物で始めるべきか軽貨物で始めるべきか迷っている」 「許可取得までの流れを知りたい」
という方も多くいらっしゃいます。
行政書士山下法政事務所では、
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をサポートしております。
30年間行政実務に携わった経験を活かし、事業者の皆様の開業を支援しております。
詳しくは、行政書士山下法政事務所 よりお気軽にお問い合わせください。