第1章 運送業の開業 6 軽貨物と一般貨物運送事業の違い
結論|軽貨物は届出、一般貨物は許可が必要
運送業を始めようと考えたとき、多くの方が最初に迷うのが「軽貨物」と「一般貨物」のどちらで開業するべきかという点です。
結論からいうと、軽自動車を使って運送業を行う場合は「貨物軽自動車運送事業」、1トン超のトラックなどを使用して運送業を行う場合は「一般貨物自動車運送事業」となります。
両者は同じ「荷物を運ぶ仕事」ですが、
- 開業手続き
- 必要資金
- 使用車両
- 人員要件
- 参入のしやすさ
が大きく異なります。
特に一般貨物自動車運送事業は国土交通大臣(地方運輸局長)の許可が必要となるため、事前準備が非常に重要です。
この記事では、軽貨物と一般貨物運送事業の違いを初心者にもわかりやすく解説します。
軽貨物と一般貨物運送事業とは
まずは両者の制度を整理しましょう。
軽貨物運送事業とは
正式名称は「貨物軽自動車運送事業」です。
軽トラックや軽バンなどの軽自動車を使用して、有償で他人の荷物を運送する事業をいいます。
近年では、
- 宅配便
- ネット通販配送
- フードデリバリー
- スポット配送
などで広く利用されています。
個人事業主として開業している方も多く、比較的参入しやすい運送業といえます。
一般貨物自動車運送事業とは
一般貨物自動車運送事業とは、トラックなどを使用して有償で他人の荷物を運送する事業です。
一般的に「運送業許可」と呼ばれるものがこれに該当します。
対象となるのは、
- 2トントラック
- 4トントラック
- 大型トラック
などです。
運送会社として本格的に事業を行う場合はこちらになります。
軽貨物と一般貨物の主な違い
違い① 開業手続き
最も大きな違いは開業手続きです。
軽貨物
軽貨物運送事業は許可ではなく届出制です。
必要書類を提出し、事業用ナンバー(黒ナンバー)を取得すれば比較的短期間で開業できます。
一般貨物
一般貨物自動車運送事業は許可制です。
運輸局へ申請を行い、審査を受けて許可を取得しなければなりません。
申請から許可取得まで数か月かかることが一般的です。
違い② 使用できる車両
軽貨物
使用できる車両は軽自動車のみです。
例
- 軽トラック
- 軽バン
最大積載量も限定されます。
一般貨物
普通自動車以上の貨物車両を使用します。
例
- 2トントラック
- 4トントラック
- 大型トラック
大量の荷物を運送できることが特徴です。
違い③ 必要車両台数
軽貨物
原則として1台から開業可能です。
個人で始める方が多い理由の一つです。
一般貨物
一般貨物自動車運送事業では、営業所ごとに原則5台以上の事業用車両が必要です。
そのため開業時の設備投資が大きくなります。
※霊柩運送など一部例外があります。
違い④ 人員要件
軽貨物
特別な資格者の配置義務はありません。
個人事業主が一人で開業することも可能です。
一般貨物
許可取得のためには、
- 運行管理者
- 整備管理者
などの人的要件を満たす必要があります。
また運転者教育や安全管理体制の整備も求められます。
違い⑤ 必要資金
軽貨物
比較的少ない資金で開業できます。
主な費用は、
- 車両購入費
- 自動車保険
- 開業届
などです。
一般貨物
一般貨物運送事業では、
- 車両購入費
- 車庫確保
- 営業所確保
- 保険料
- 登録免許税等
が必要となります。
さらに許可申請時には資金計画も審査対象になります。
そのため数百万円から数千万円規模の資金が必要となるケースもあります。
どちらを選ぶべきか
軽貨物が向いている方
次のような方は軽貨物が向いています。
- 個人で始めたい
- 初期費用を抑えたい
- まずは配送業務を経験したい
- 小規模で開業したい
副業や独立開業の入口として選ばれることが多いです。
一般貨物が向いている方
次のような方は一般貨物が向いています。
- 本格的な運送会社を経営したい
- 法人で事業展開したい
- 大口取引を目指したい
- 複数車両で運営したい
将来的に事業拡大を考えている場合はこちらが選択肢となります。
軽貨物から一般貨物へ移行できる?
結論として可能です。
実際に、
- 軽貨物で独立開業
- 顧客を増やす
- 法人化
- 一般貨物運送事業許可取得
という流れを取る事業者も少なくありません。
ただし一般貨物運送事業の許可を取得する際には、
- 営業所
- 車庫
- 車両
- 人員
- 資金
などの許可要件を満たす必要があります。
事前に準備を進めることが重要です。
開業前に確認しておきたい注意点
「荷物を運ぶ=全部同じ」ではない
開業相談で多いのが、
「軽トラックで始める予定だけど運送業許可は必要ですか?」
という質問です。
軽貨物と一般貨物では制度が異なるため、必要な手続きも変わります。
開業後に制度の違いが判明すると、
- 車両の買い替え
- 車庫の確保
- 許可取得のやり直し
など余計な費用が発生する可能性があります。
将来の事業計画を考える
開業時だけではなく、
- 3年後
- 5年後
の事業計画も考えて選択することが大切です。
将来的に運送会社として規模拡大を考えている場合は、一般貨物運送事業を見据えた準備が有効です。
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- 運送業の始め方【完全ガイド】
- 運送業は個人でも開業できる?
- 運送業許可とは
- 一般貨物自動車運送事業とは
- 運送業許可の5つの要件
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まとめ
軽貨物と一般貨物運送事業は、同じ運送業であっても制度が大きく異なります。
主な違いを整理すると、
| 項目 | 軽貨物 | 一般貨物 |
| 手続き | 届出 | 許可 |
| 車両 | 軽自動車 | 普通・大型トラック |
| 必要台数 | 1台から | 原則5台以上 |
| 人員要件 | 特になし | 運行管理者等が必要 |
| 開業資金 | 比較的少額 | 多額になりやすい |
個人で小規模に始めるなら軽貨物、本格的な運送会社として事業を行うなら一般貨物運送事業が選択肢となります。
まずは自分がどのような事業を目指すのかを明確にし、その上で適切な制度を選択することが重要です。
運送業の開業・許可申請は行政書士へご相談ください
一般貨物自動車運送事業の許可取得には、
- 営業所要件
- 車庫要件
- 車両要件
- 人的要件
- 資金要件
など、多くの確認事項があります。
要件を十分に確認しないまま申請を進めると、許可取得までに時間がかかったり、追加対応が必要になったりする場合があります。
行政書士山下法政事務所では、運送業許可申請に関するご相談を承っております。
30年間行政手続きに携わった経験を活かし、運送業の開業準備から許可取得までサポートいたします。
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